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関ケ原笹尾山交流館スタッフブログ

島津義弘の陣跡11 島津の退き口伝説

島津には、井伊隊、松平隊、本多隊らが追撃します。
追撃する兵と島津の間で、凄まじい戦がありました。


義弘は退く時、北国街道(北国脇往還)を南東に下り、関ケ原宿付近を通り、伊勢街道に入って烏頭坂を抜け、牧田川沿いの東伊勢街道から一路、大垣をめざし、籠城するつもりであったようです。※異説あります。
ところがすでに大垣城は炎上していたので行くのをあきらめ、大坂を目指します。
大坂に行って再起を考えていたとも言われ、退却すれども今だあきらない、義弘の心意気を感じます。

その後も一難去ってまた一難で、島津隊は多大な犠牲者を出しながら退きます。
義弘が故郷の島津領に着いたのは、10月1日のことでした。



島津が退いた時に残したものは、400年以上経った今も私達に何かを語りかけてきます。
関ケ原町や大垣市内の烏頭坂、牧田地区、上多良地区などで語り継がれ、その逸話は今も、大きく想像力をかき立てられます。
それは「島津の退(の)き口(ぐち)」と言われる、千数百キロにも及ぶ壮絶な退却戦、負け戦を吹き飛ばす伝説です。



江戸時代中期、敵方であった黒田家の家譜には、
「其(そ)の合戦の形勢(ありさま)すぐれてはげしかりしにや。其の時京童(きょうわらべ)の諺(ことわざ)に、物のはげしき事をば、嶋津(島津)の退口のごとしぞ云(い)いける」(桐野作人著「関ケ原 島津退き口」P4より引用)
と書かれているぐらいです。


負け戦であったにもかかわらず、当時国内で、この出来事は強烈な印象でもって語られたと思われます。
当笹尾山交流館の甲冑体験コーナーにある関ヶ原合戦図屏風(本物は関ケ原町歴史民俗資料館に所蔵)でも、島津の退き口は中心に位置し、目立って書かれています。





この退却戦は義久のフォローにより島津の領地安堵、また生き残った義弘は島津氏の行く末に大きな影響を及ぼすようになっていきます。
義弘は兄の義久との関係の中で、義弘嫡男の忠恒(後の家久)が薩摩の初代藩主となり、総本家としての地盤を固めます。
また島津藩士の末裔は、江戸時代の宝暦治水や明治維新など、日本の歴史を変える大きな役割を果たしています。


昭和35(1960)年からは毎年、退き口のルートをたどる鹿児島の青少年達による踏破隊が、岐阜に来ています。
この踏破隊は「チェスト行け関ヶ原」の幟(のぼり)をたて、島津義弘陣所跡より大坂城まで、一部を除き数日間で120キロを歩いて踏破するものです。

開催は50回以上を数え、参加者の名前は石に彫られて島津義弘の陣跡にあります。
鹿児島と岐阜の間で結ばれた絆が、教育や行政分野での人材交流として、今も生きています。





もしもはないのですが、特に島津の関係は想像できることがたくさんあります。
たとえば三成以上の戦経験をもつ義弘が、島津が薩摩に残している兵力を出して西軍参戦したならば、関ケ原合戦の勝敗はどうなったかわからなかったと言われます。
合戦中に義弘は何度も、「薩州勢5千召し列ね候わば」勝つことができたと言っています。
(桐野作人著「関ケ原 島津退き口」P130引用、以下参照)
義弘の戦歴からすると、あながちに否定はできません。



三成は敗退した後も、家康打倒で再起するつもりであったと言われています。
「関ケ原町史 通史編上巻」P367には、三成が退却中、それまで付き添ってきた3人の家来に最後の別れを告げた所があります。

「我は暫(しばら)く此(この)辺に身を隠し、其(の)後密かに大坂へ赴(行くの意味)き、薩摩へ下向して島津義弘と語らい、重ねて大軍を起こすべし」

三成の退いたルートは確定されていないぐらいなので、この話の真偽はわからない面がありますが、三成は最後まで秀頼のために忠義を尽くそうとし、その中心人物として義弘を頼りにしていたことがうかがわれる話です。



当笹尾山交流館の近くの笹尾山会場=笹尾山駐車場では、このブログで毎回のように参考や引用をさせて頂いた書籍、「関ケ原 島津退き口-敵中突破300里(学研新書)」の著者、桐野作人氏によるお話が直接聞けるステージが10月20日11:00~12:00にあります。

また同じく桐野先生が一日同行する、島津の退き口をたどるツアーを11月3日(日)に開催します。
このブログでは紹介できなかった興味深い内容を、桐野先生から直接お話しが聞けるツアーです。



関ケ原合戦 島津義弘 島津の退き口 踏破隊
退き口のルートをたどる鹿児島の青少年達による踏破隊の参加者。
この義弘陣地より大坂城まで一部を除き数日間で120キロを歩いて踏破します。

関ケ原合戦 島津義弘 島津の退き口 踏破隊
退き口のルートをたどる踏破隊は、これまで50回以上開催されています。

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